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2007年5月 7日 (月)

政府は何をやろうとしているのですか?

 この時期には憲法改正に関する世論調査が各紙から一斉に発表されるのだが、憲法改正を支持するものが半数を超えると言われても釈然としない。自分の周りの人を見ても、そんなに憲法を変えたいと思っている人が多いなんて信じられないのだ。

 憲法記念日の日に街頭でインタビューを試みている様子をテレビで見てますますその思いが募った。「あなたは憲法改正に賛成ですか反対ですか?」と質問すると殆どの人が賛成と答える。重ねて「何故ですか?」と尋ねると多くの人が怪訝な表情となる。とりわけ若者は目が点になる。「何故変えるべきなのか?」とか「何処をどう変えるべきなのか?」等と言う質問自体が不思議そうなのだ。どうも憲法改正に賛成という票数のなかに単純に「憲法を変えることは許される」と考えているに過ぎない人の票が含まれているようだ。つまり「憲法改正に賛成する」とい人の数が過大にカウントされていると思う。

 果たして私が街頭で質問されたとしてどうだろうか。私だって憲法が「不磨の大典」だとは思っていない。私は現憲法改正の必要はないと考えているが、反面今のままで解釈改憲に抗し続けることが出来るだろうかとの疑問もある。現在の改憲論議で何を危惧しているかと言えば、9条を削除したり改変することによって「アメリカの戦争に動員されることになるのではないか」と言うことだ。しかし、第9条を守ると言うことでその危険を明確に排除できるとは思えなくなってきている。つまり第9条がそのままでも「集団的自衛権」が認められる事によって、日米同盟(既に日米安保条約と呼ばれなくなっている)が極東に限らず地球上の何処でも共同作戦行動を取る可能性に道を開くことになりかねない。だから、憲法9条を守りたいという意味では改憲反対だが、新しい事態(集団的自衛権を認めることによって日米安保が軍事同盟に変質する)を前にすると、国家に改めて縛りをかけるという意味での憲法改正に賛成と言える。

 国民投票法案も必要だとは思っている。原則的には現憲法でも改憲は認められているのだから国民投票法も必要だ。しかし、私達が望むように改憲できるとは限らないし、その可能性もそう大きいとも信じられない。安倍晋三氏が望むように改憲されてしまう可能性が大きいと考えるのが現実的かも知れない。だから、護憲派としてはひたすら改憲の手段を与えないように頑張っているのだとは思うが、その憲法自体が改憲することを国民の権利として認めているのだから何時までも防ぎ続けることは出来ない。どんな改憲をするのかを国民に問うときが必ず来る。現実の危険を国民に問うてそれで駄目なら後は国民がその決定の責任を取るしかない。その現実の危険が何なのかが国民に説明されていない事が問題だ。

 では何が問題か?
 集団的自衛権の話しでよく引き合いに出されるのが「公海上を日米両国の艦艇が並んで走っていて米艦が攻撃されたときにも助けられないという」話しだが、多くの国民は日本海で北朝鮮からの攻撃を思い浮かべていると思うが、自衛隊や米軍基地が背後に控えているところにちょっかいを出してくるところはない。攻撃してくると言うことは全面戦争を覚悟したとき以外にはあり得ないのだが、北朝鮮と日米とでは「月とスッポン」、六十数年前の日本とアメリカとの比ではない。現実にはちょっかいを出せるような国力差ではない。日本国民向けの目眩ましには都合が良くても日米首脳の軍事的な脅威になっているとは思わない。

 政府は具体的に語らないが、実際に想定しているのは何処でどんなことをやろうとしているのだろうか?想定するまでもなく現在実際に艦艇を並べているところがある。それはインド洋の補給艦の活動だ。つい先だって安倍総理が補給艦と護衛艦を訪問して「最高司令官たる云々」と宣って顰蹙を買ったところです。ここで攻撃を受ければ、現憲法解釈と現テロ対策特措法では即帰国を命ぜられなければならないところですが、集団的自衛権が認められれば帰国どころか増派すら可能になるのではないか?給油活動をやっているところはイラン・イラク・アフガニスタンと言った現実の火薬庫を睨んだ位置で米軍が展開しているところで、航空自衛隊共々米軍の支援活動をしているのであり、当然攻撃される危険は常にある。本当はここでのことを政府は想定して考えているに違いないのだ。一般的な「集団的自衛権」の話しをしていると思ってはならない。

 最近はミサイル防衛の話しもよく聞く。当たる可能性は低いとは言え自国民を守るというなら良い。しかし実際は基地を守るのだと言うし、ましてやアメリカに向けて発射されたミサイルをも撃ち落とすのだという話しは聞き捨てならない。アメリカに基地を提供するだけでは足らず、アメリカの防波堤にまでなろうというのか?そんなことを日本国民は望んでいるというのだろうか?
 現在の北朝鮮は日本や日本にある米軍基地は射程内に捉えているが、アメリカ本土まで届くミサイルは持っていないと見られている。先般の北朝鮮の核実験の時にアメリカは「核の傘」は信頼して良いとわざわざ言いに来た。それは日本国内でアメリカが本当に日本を防衛してくれるのかの不安を払拭するためであるが、それをアメリカが断言できるのもアメリカまで届く核ミサイルがないからだ。日本が攻撃されたとして、もしも北朝鮮にアメリカまで届く核ミサイルがあったときにはアメリカも即時介入することをためらうだろう。自国が核攻撃に遭う可能性がある場合には日本を助けた場合と助けなかった場合のリスクを評価して介入するかどうか決めると言うことが政治的には常識だろう。

 現在、北朝鮮が日本を攻撃した場合、例え米軍基地は攻撃対象から外したとしてもアメリカは参戦すると考えられる。しかし、例えば中国が日本だけ(米軍基地は除く)を攻撃した場合は参戦をためらう。それは中国にはアメリカ本土を攻撃できる核ミサイルを持っているからだ。ロシアの場合も同じ事だ。 これらの場合にはアメリカが「日本の戦争に巻き込まれるな」と考える。自国の利益とはそう言うものではないのか。

 アメリカ本土を攻撃できるミサイルを日本が撃ち落とすということでは、日本が攻撃されたときのアメリカの参戦を担保出来ない。日本が一方的にアメリカの防波堤になることを意味するに過ぎない。日本がアメリカのために危険を冒すからアメリカも日本のために危険を冒してくれると考えるのはナイーブすぎる。アメリカはイラク戦争で国力を落としている。だから金でも物資でも人でもより一層の協力を日本政府に求めてきている。現実に行われているアフガニスタンやイラク戦争に日本国民は協力しますかどうですか?と言う事を日本国民に聞かなければならない。それを一般的な集団自衛権の問題にすり替えて「アメリカに助けてもらっているのにアメリカを助けないで良いのか?」と言うような問いかけを日本国民にしている。これは日本国民を欺すもので日本国民に対して誠実と言えない。

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