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2007年5月25日 (金)

「推定無罪」の原則は何処へ行ってしまったのか?

 昨日は山口県光市の母子殺人事件の差し戻し審のことが話題になった。「死刑以外にあり得ない」と言うような話し方をされると「ちょっと待ってよ、それは貴方の判断?」とチャチャを入れたくなる。

 被害者の本村氏もワイドショーも盛んに「弁護する事自体が許し難い!」と主張しているように感じるのだが、正常なことだろうか? 近頃は容疑者の発言がリークされて報道されることが多くなったし、弁護側も面会して直ぐに記者会見で話した内容を漏らしている。そのこと自体に私は違和感を感じている。事実審理は裁判で行うものであって世論調査や選挙で行うものではないでしょう。 捜査側も弁護側も一定の効果を狙っての事なのだろうが、どちらも事件や背景を系統的に説明したものではないし、そうしたことが出来るような時間的な余裕もないうちから情報が流されて、世論、ひいては裁判官も一定の予断を形成することになる。裁判を世論が誘導するようなことが良いのかどうか大いに考えてもらいたいところだ。

 光市の事件は裁判に世論が圧力をかけ続けている最たる事例だと思う。弁護側が21人という事で話題になっているが自分が弁護士だったら二人や三人では「弁護する事自体が許し難い!」というバッシングの嵐に耐えていけないと思う。あれだけ大勢の弁護団になった本当の理由は分からないけれど自分はそう考えて納得している。冷静に聞くならば安田弁護士達は事実審理をしっかりやってくれと言う以上のことは言っていないと思う。「死刑廃止論者の世迷い言」と取るとしたら既に予断が出来上がっている。誰にすり込まれた感情かと言うことを少し考えて欲しい。

 今日のワイドショーでは早速弁護内容がやり玉に挙げられているが、弁護団が強姦目的の殺人を否認して傷害致死罪の適用を求める事は何ら責められるべき事ではない。ワイドショー等が検察側の立証を検討するのではなく弁護側の立証を検証しようとすること自体が異常なことだと私は思う。肝心の裁判がこうでないことを願っているけれど…。 本来刑事裁判では検察側が100%確実に罪を立証しなければならないものだが、今回の差し戻し審では立証責任が弁護側に預けられてしまっている。これ自体が既に異常なことではないのか? つまり刑事裁判における「推定無罪」の原則が全く忘れ去られている。今回の差し戻し審は「推定有罪」という異常な事態となっている事に注意したい。

 盛んに取りざたされている裁判員制度などが始まったとして「推定無罪」の原則を裁判員に周知徹底させることが出来るのだろうか?非常に不安になるところだ。

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コメント

この事件はどうみたって死刑にすべき事件ではありません。
マスコミは加害者の少年に対して、死刑にしろ!殺してしまえ!の大合唱。卑劣なリンチを加えております。
こういった状態では21人の弁護士もいたしかたない、いや21人でも少なすぎるかなといった感じです。
裁判は事件を公正に審理する場です。被告人をリンチにする場でも、被告人に報復感情をぶつける場でもありません。

投稿: 許すな死刑! | 2007年5月30日 (水) 23時08分

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