「戦後レジームからの脱却」というなら…
今日(17日)も各TV局で年金問題が取り上げられていた。NHKでは中川昭一政調会長が如何にも不機嫌そうに且つこれ以上ないほどの横柄さを発揮していて見ていて不愉快なことこの上ない。続いてサンプロでは大村秀章議員が弁解にこれ勤めていたが民主党の長妻議員相手では信頼感が雲泥の差で勝負にならない。どちらにしても自公政権側に分がないことは明らかで打ち出す対策が全て泥縄式に見え自民党の周章狼狽振りばかりが印象に残る結果となっている。
安倍総理は「リーダーシップ有り」を装って出来もしない約束をカメラの前で喋りまくっているが、それに欺されるような国民はもう多くはないように思う。名寄せできていない5000万件の処理を一年でやると断言しているけれど可能だと信じている人は皆無ではないのか。そんなことをしている間にもデータ化すらしていない1430万件が加わったりしている。ソフトを新調してやれば簡単に出来るようなことを言っているが筋の悪いデータをコンピューターソフトは果たして扱えるだろうか?統合の過程で統合済みとなっているデータまで壊してしまうことになりかねないのではないか?結局は回り道のようでも紙の原本からもう一度データを作り直して処理する事になるのではないか。
社保庁も電話相談や窓口での確認作業で汗だくであるが、あそこで分かるのは名寄せに成功しているか失敗しているかだけでしかない。自分の経歴と照らし合わせて安心できた人は良しとしても、失敗している人はそれからの作業が大変だ。今は「領収書が無ければ駄目だ」と冷たく付き放されることはないとしても、事態が根本的に変わったわけではない。支払を証明する書類か領収書が必要なことに代わりはなく、社保庁の方で見つかる保証はない。本当は電話相談なんかに人手を割くよりも調査の方に人員を集中すべきなのであり、電話相談なんかは全く自民党のアリバイ作りのためにやっているに過ぎないとさえ言える。
私は政権交代必要論者で、参院選とは言え与党が敗退することは良いことだと思っているので現在の自公政権のうろたえ振りは好ましいと思ってはいるが、何時までも責任追及だけをしていればよい問題だとは思っていない。年金相談に駆けつけている人達はTVで見る限りでは既に受給しているか近い将来受給する年代の人達と見受ける。私も団塊の世代で受給資格も手の届くところまで来ているので事情は理解できる。今40代以上の世代であれば年金を確実に受け取れること、そして年金制度が維持されることを願っているし、貰えることを信じて払い込んできた以上存続して貰わなければ困る。財産権の侵害とすら感じるだろう。だがしかし、20歳代や30歳代の人達はこの狂騒振りをどう見ているのだろうかと考えたときには違ったものが見えてくる。
若者達は今の年金制度が存続するとは信じられないでいる。しかもサラリーマンであれば給料から天引きで謂わば強制的に徴収されている。壊れること確実な制度に強制的に加入させられているというのはどういう気分なのだろうか?存続を確実なものにするか、いっそのこと止めるかのどちらかにしてくれと言いたいところだろう。そうでなければ人生設計なんてできっこない。彼らから見ると、今現在大騒ぎしているのは受給している高齢者のためであって拠出している自分たちのことを無視しているとしか映らないのではないだろうか。安倍政権の支持率は下がり、自民党の支持率も下がっているが民主党の支持率は一向に伸びない。この若者達の不満に対応した政策を打ち出し得ていないところにも支持率が伸びない一因があるのではないだろうか。赤木智弘氏が雑誌「論座」2007年1月号に「『丸山眞男』をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。」と指摘したように将来の人生に希望を見いだせず、戦争によって世の中がぶっ壊れることにしか希望が見いだせないとしたらそれは政治の責任であり何より野党の責任だ。「最高権力者」安倍晋三に率いられて死にに生かせるわけにはいかないでしょう。
今になって思えば私達も随分お人好しだったと思うのですが、年金制度とは国民の「老後の生活を保障する」ものだと信じてきたが、社会保険庁も自民党も年金制度を税金のように、自分たちで自由に使える「金蔓」と考えてきたことが今や明らかになってきた。その源は戦前にあると最近知って得心がいった。
厚生年金の資金運用を巡り、厚生年金制度ができた1942年当時の担当官僚が88年に出版された書籍で、天下り先の受け皿作りや掛け金の使い切り を奨励する発言をしていた。(略)書籍は「厚生年金保険制度回顧録」(社会保険法規研究会刊)。そのインタビュー記事で、厚生年金保険法が制定された当時の厚生省厚生年金保険課長が発言していた。 元課長は「厚生年金保険基金とか財団とかを作れば、厚生省の連中がOBになった時の勤め口に困らない」「掛け金を直接持ってきて(福祉施設などを)運営し、今のうちどんどん使ってしまってもかまわない」などと発言していた。【野倉恵】 毎日新聞 2007年6月13日 東京朝刊
そもそも年金制度の始まりが戦争中で、もっと露骨に「保険料は今入り、支払うのは数十年後、それまで自由に使える」と公言して軍部や厚生省が始めた制度だと言うのだ。そのDNAが脈々と厚生労働省や自民党に受け継がれていると考えればドブに捨てたようなグリーンピアの使いっぷりも、ほったらかしの納付記録も申請主義(自分から申請しなければ年金が貰えない)も納得がいく。最初から国民から預かり、国民に返すものだという考えその物がなかったのだ。
今考えなければならないのは、税金代わりの「国民年金」から真に「国民の老後の生活を保障する年金」へと、そもそもの考え方を変えること。そしてその哲学に基づく制度設計をし直すことだ。民主党案は結構いい線を行っていると思うが何処か自信なさげだ。財源問題をつつかれる事を恐れて自民党の土俵に引き入れられている。民主党の政策10本柱の中で「偏った対米追従外交の失敗を正します。」と主張しているのだから「思いやり予算」や「米軍のグアム移転費用の負担」を見直す、「辺野古の新基地」も見直すし、無料で貸してある基地の使用料を徴収出来るように安保条約も変えると主張したらどうか?国民生活の安心を削ってでも日米同盟が重要だと国民が選ぶならそれも良しとしなければならないけれど、国民は日米関係の異常さに気づくだろう。世界第二位の経済大国が国民の老後の生活を保障する制度のひとつも維持できないとしたらこんなにおかしな事はない。何処かにブラックホールがあるのではないですか?日米関係を考え直すことはその出発点になりうる。
「戦後レジームからの脱却」というのはこういう事を言うのだよ、安倍君!どうだね?--くらいのことは言ってやれ!
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コメント
「体制」をいうなら「レジューム(Resume?)」ではなくて「レジーム(Regime)」とちょっと一言(笑)
投稿: パラダイム | 2007年6月19日 (火) 21時51分
TBありがとう!安部さんの所為ではないにしろ、あまりにも空約束が多すぎる。
参院選を意識してだろうけれども、どうも逆効果のようです。
しかし、ここまで官僚腐敗が進んでいる日本、もう一度、教育3法じゃないけれど、官僚も期限を設けて、再試験する制度はどうでしょう。
投稿: hontino | 2007年6月21日 (木) 13時41分