« 「ミンチ」にしてしまえば分からんと言うことかい? | トップページ | 壊れてしまった民主主義をどう再生させようか? »

2007年6月25日 (月)

露骨に脅された?安倍政権!

 ヒル国務次官補が去る21日に日本政府を出し抜く形で北朝鮮に向かった。そのルートが振るっている。マスコミには成田からの帰国の便名まで公表しておいて姿をくらまし、不法占有の米軍赤坂プレスクラブのヘリポート(※1)から横田基地に向かいそこから韓国烏山空軍基地そして北朝鮮の順安国際空港へ米軍の要人用ジェット機で入ったと言う。20日には神宮球場で野球観戦という、如何にも既に公務は終わったと言わんばかりのパフォーマンスを披露してまでマスコミや日本政府の眼を欺いて北朝鮮に向かった事になにがしかの意図を勘ぐるなと言うのは無理な話しだ。むしろなにがしかのメッセージを安倍政権に残したと考えるのが正解だろう。上品に言うならば「アメリカは核問題を第一の問題と考えているのであって、拉致問題を優先することは出来ない。」だけれども、単刀直入に言うと「拉致問題でアメリカの足を引っ張る日本政府なんて要らない!」とのメッセージと受け取った。

 実際には金正日政権からの招待は18日にあったというから、ブッシュ政権が交渉方針を検討する時間はあったとみて良いだろう。勿論安倍政権と相談する時間がとれないほどでもないのに事後通告としたことは、明らかに日本政府の関与を嫌ったか、その意図を隠す必要もないと考えての行動だろう。麻生外相は如何にも不愉快そうだったが、安倍総理は平気の平左を装っていたが、かなり動揺していたことだろう。何も感じないとしたらそちらの方が日本国民としては心配になる。「経済援助は日本が頼りの筈」と高を括っていて良いのでしょうかねー?

 安倍首相は21日昼、ヒル氏の訪朝について「北朝鮮との交渉においては、残念ながら圧力抜きでは進みません。対話と圧力の姿勢の中において、今回のヒル国務次官補の訪朝となった。今後もこの方針を貫いていきます」と首相官邸で記者団に語った。 (朝日新聞)

 拉致問題だけで政権についてしまった安倍晋三氏としては辛いところだが、「圧力抜きで」の前に「残念ながら」と入れることで辛うじて今後の政策変更を臭わせている。アメリカの政策変更を露骨に見せつけられて今にも倒れてしまいそうだった。「ざまあ見ろ!」と言いたいところだが、ここまでコケにされると日本人として悲しいやら悔しいやらだ。

 麻生外相は「焦って(北 朝鮮に)行っているが、焦って足元を見られるほどアホらしい話はない。安易に譲ってもらいたくない」と22日の記者会見で不平を漏らしていたが、アメリカには焦るだけの理由があると言うことだ。ブッシュ大統領の任期はあと一年だ。イラクが引くに引けない泥沼状態でイランの核開発を止めるのもままならず、クリントン政権の北朝鮮政策を批判して始めたのに実際上クリントン政権の取り決めに戻り、しかも核兵器まで持たせてしまった。このままでは「史上最も愚かな大統領」の烙印を押されかねない。ブッシュ大統領が世間の評価をどれ程気にする人なのか分からないけれど、任期中にイラク戦争にケリをつけられず(見通しすらつけられそうもない)、北朝鮮との初期段階措置すら実行に移せず事実上の野放し状態では「史上最も愚か」のレッテルもやむをえない。イラクの泥沼に比べると北朝鮮は如何にも成果が上げられそうに見える。何か与えれば何か得られそうに見えるではないですか?せめてここで金字塔をと考えても不思議はない。

 アメリカは北朝鮮とどう付き合おうとしているのだろうか?そしてそれは日本の政策と整合性があるのだろうか?
 日本は拉致問題を前面に押し立てて経済制裁を仕掛けて金正日政権の屈服ないしは崩壊を目指していると思われるが、屈服は世界最強の米軍を前にして核兵器開発にいそしんだことでも分かるようにその可能性は皆無である。では崩壊するかというと--

 開城特区で事業展開している韓国企業23社は、約1万5000人の北朝鮮人を雇用している。ほんの1年前の2倍の数だ。開城の工場の生産高は2005年1月時点では20万ドルだったが、今年3月には1300万ドルに達した。 今、韓国企業47社が開城進出の準備を進めており、韓国政府は6月、さらに300社に進出を認可する見通しだ。今後3年以内に開城特区の従業員数は10万人に増える可能性がある。(日経ビジネス 2007年6月18日号)

 NHKスペシャルでも中国の北朝鮮での投資が特集されていたように韓国は勿論のこと中国そしてロシアも北朝鮮での投資を活発化させようとしている。経済制裁が解除されてアメリカの市場が開かれた暁にはこれらの地区の経済は大発展する可能性すらある。近いうちに崩壊すると予想している人はもういないのではないか。

 そもそもアメリカは金正日政権の崩壊を望んでいるのだろうか?私は望んでいないと考えている。よく「核放棄」と言うが核開発の停止は実現可能だとしても核兵器の放棄は無理だろう。ブッシュ政権も核拡散や核の流出は阻止するが、核兵器を手放すことまでは求めないものと思っている。例え米朝国交正常化という特大のお土産を持ってしてでも核兵器の放棄は叶わないのではないか?それ程北朝鮮のアメリカに対する恐れと警戒感は強い。

 アメリカが現在最も恐れていることはテロリストの手に大量破壊兵器が渡ることである。このことに比較すると金正日政権がアメリカまで届くテポドンを完成させたとしてもそれ程恐れないだろう。それは、自らが地球上から存在しなくなることを知っていてアメリカを攻撃するほど金正日政権が愚かだとは思っていないことによる。テロリストであればミサイルなんて無くとも、迷うことなく飛行機や船で運んできて爆発させることをためらわないが金正日はそうではないと考えるからだ。ジャン・ローダール元政策担当国防次官は弾道ミサイル防衛を検証した一文の中で--「 幸いにも、これまでの歴史から見て、北朝鮮は抑止を理解できるだけの合理的思考を持っている。」と書いたように、現在のブッシュ政権も同様に考えている。政権を崩壊させて混乱の中で核兵器がテロリストの手にわたってしまうよりも、例え「最悪の独裁政権」である金正日であっても、しっかり核を管理してもらっている方がアメリカとしては安心なのだ。

 今では6カ国協議参加国の中で、日本を除いて北朝鮮の崩壊を望んで政策を立てている国は一カ国もない。崩壊を望むような政策はどの国も採用しないし、このまま核兵器を開発し続ける北朝鮮を野放しにしておくことも出来ないと考えているのだ。拉致は人権問題として同情するが、拉致問題が解決しない限り核開発に関しても何もしないと言う政府は無能の誹りを免れない。それが現実でしょう。

 「拉致問題の解決とか進展」とかは具体的に何を意味しているのか?第一、拉致問題を交渉もしないでどうやって解決するというのか? 「拉致問題の進展」が横田めぐみさんの帰国だとしたらそれは国家関係としてはとてつもなく高いハードルだ。めぐみさんが生きている可能性は私もあるとは思っているが、一旦国家が「死んだ」と言ったものを「生きていました」と簡単に言えるものではない。小泉訪朝の時だって、「調べてみると軍の一部がやっていた、金正日は知らなかった」と言って認めたが、これですら信じられないほどの展開だった筈だ。「最高権力者」殿には「拉致問題解決無くして云々」とのフレーズを忘れて冷静に、じっくりと考えて欲しいところだ。拉致問題進展のハードルも下げる必要がある。実際にはよど号メンバーの帰国くらいから始めるのが現実的ではないのか?

 ついでに言うと、アメリカに届く大陸間弾道ミサイルの開発はアメリカにとってはそれ程脅威ではない。全く脅威でないというわけではないがアメリカを標的としているミサイルという意味ではロシアも中国も既に配置済みであり、アメリカ本土を防衛するミサイル防衛も戦略的というよりは間違って発射されたミサイルへの対処という意味の方が大きい。大国同士では相互確証破壊による抑止効果を現在も中心に据えている。北朝鮮はそこのレベルまで拡張する力はないのだから考えようによっては可愛いものだ(あくまでアメリカから観てであり、日本には現在でも既に脅威です)。
 
 現在でも既に北朝鮮のミサイルのエリアに入っている日本にとって注意すべきはテポドンの開発状況と核兵器の軽量化の方だ。核弾頭を搭載してアメリカ本土まで届くテポドンが配置された暁には日米安保の信頼性は大いに揺らぐことになる。つまり、北朝鮮が日本を攻撃したとして、核搭載のテポドンが実戦配備されている場合は在日米軍が自動的に参戦することにはならないだろうと言うこと。アメリカ大統領はアメリカ本土が核攻撃を受けるリスクを考慮して参戦を考えることになる。と言うことは既に中国やロシアと事を構える自由は日本にはないと言うことになる。つまり中国やロシアとの紛争はアメリカが巻き込まれかねないので望まないと言うことだ。そう言えば北方領土問題も中国や韓国との領海問題もアメリカは知らんぷりだよね。戦後処理の問題と関係してアメリカにも決して責任がないわけではないのにねー。

 アメリカの望まないことはしないで、日米同盟で「アメリカの戦争には巻き込まれてね」と言う事でしょうか?
「安倍官邸団」で大丈夫でしょうか?

********************
(※1)
質問主意書

質問第一八号

東京都港区の米軍「赤坂プレスセンター」の臨時ヘリポートに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年四月十三日

緒 方 靖 夫   
井 上 美 代   


       参議院議長 井  上   裕 殿


   東京都港区の米軍「赤坂プレスセンター」の臨時ヘリポートに関する質問主意書

 米軍が現在使用している東京都港区六本木の米軍「赤坂プレスセンター」内の臨時ヘリポート用地約四三〇〇平方メートルは、一九八三年五月の日米合同委員会で、「赤坂プレスセンター」内の土地三九〇〇平方メートルを都市計画街路環状三号線の道路用地として東京都と米軍の共同使用にする代替措置として、東京都が公園として使用している土地の一部を米軍に追加提供し、環状三号線建設工事が完了したならば東京都に返還するということが合意されていたものである。

 ところが米軍は、一九九三年三月に環状三号線の建設工事が完了したにもかかわらず、「赤坂プレスセンター」の臨時ヘリポートを返還しないという不当な措置をとり続けている。

 東京都が作成した冊子「東京の基地二〇〇〇」で「昭和五八年五月の日米合同委員会に基づき、八月、東京都、東京防衛施設局、在日米軍との三者間で『在日米軍施設及び区域の共同使用に関する協定』を締結し、都市計画街路環状三号線の工事期間中の臨時ヘリポート整備と、工事完了後、元のヘリポートを原状回復することとした。平成五年三月、環状三号線工事が完了し、供用開始されたが、米軍の臨時ヘリポート継続使用の意向が東京防衛施設局を通じて口頭で伝えられた。東京都は、ヘリポートの原状回復工事が三者協定のとおり実施できるよう、東京防衛施設局を通じ米軍に再三働きかけを行っている」と述べているように、米軍が「赤坂プレスセンター」の臨時ヘリポートをいまだに返還しないことは日米合同委員会及び東京都、東京防衛施設局、在日米軍との三者間の「在日米軍施設及び区域の共同使用に関する協定」に反する行為であることは明らかである。

 政府は、米軍のこのような不当な措置を許さず、一刻も早い米軍「赤坂プレスセンター」の臨時ヘリポートの返還実現のための措置をとるべきである。

 米軍「赤坂プレスセンター」の臨時ヘリポートに関して次の点について質問する。

一、米軍が「赤坂プレスセンター」の一部約三九〇〇平方メートルを東京都と共同使用することを認める代替措置として、東京都が米軍に公園用地の一部約四三〇〇平方メートルを米軍の臨時ヘリポート用地として追加提供するということを決めた一九八三年五月一九日の日米合同委員会合意の全容を明らかにされたい。

二、日米合同委員会後の一九八三年八月一二日には、東京都、東京防衛施設局、在日米軍の三者で「在日米軍施設及び区域の共同使用に関する協定」が締結された。この協定の全文は「麻布米軍ヘリ基地撤去実行委員会」がアメリカの「情報公開法」に基づいて公表要求したことに対して、米軍は一九九九年一〇月二日に全文を公表した。それにもかかわらず防衛施設庁は当該協定の全文を公表していない。
 政府はこの「在日米軍施設及び区域の共同使用に関する協定書」の全容を明らかにされたい。

三、これまで、防衛施設庁は、米軍に対して「赤坂プレスセンター」の臨時ヘリポートを返還するよう日米合同委員会などで述べてきたと説明しているが、具体的な交渉内容を明らかにされたい。

四、政府は、米軍「赤坂プレスセンター」の臨時ヘリポートの即時返還を求めるべきであると考えるが、いかがか。

  右質問する。

********************

 これに関しては石原都知事も「緊急の時には米軍に使わせてやっても良いから返還を求める」と息巻いていたのですが、結局は施設内の別の用地の返還を受け、ヘリポートを緊急の時に使わせていただく事で決着したそうです。これが「ノーと言える日本」の現実なのですね。

|

« 「ミンチ」にしてしまえば分からんと言うことかい? | トップページ | 壊れてしまった民主主義をどう再生させようか? »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73196/15555162

この記事へのトラックバック一覧です: 露骨に脅された?安倍政権!:

» 悪夢の郵政選挙後の日本国民の生きる力を占う選挙!それが夏の参院選! [らんきーブログ]
人気ブログランキング ← より多くの人に伝える為にクリックのご協力を♪ 政治ランキングにリベラルブロガーが続々参戦中です!皆で応援を^^ 寄らば大樹の陰 長いものには巻かれろ 腐っても鯛  日本人はこんな、こと... [続きを読む]

受信: 2007年6月25日 (月) 18時57分

» 北朝鮮の核、今後どうなる? [やぶにらみトーク]
TBありがとう!」 [続きを読む]

受信: 2007年6月25日 (月) 19時56分

» 市議会が全員一致で憲法9条堅持を求める [とむ丸の夢]
人気blogランキングへ  参院選まで頑張ろう、と思っています。  ご協力をお願いいたします。               ありがとうございます。 m(_ _)m  福岡県中間市をご存じでしょうか。 北九州... [続きを読む]

受信: 2007年6月25日 (月) 22時25分

» ”彼ら”自身は、日本の「国債サイクル」の維持を当面は望んでいると考えてよいでしょうか? [晴耕雨読]
bakaさん: 知的執事の内にも加えられない禿鷹連中は、あっしらサンが想定されるような企みを考えて実行に移すのかもしれませんが、”彼ら”自身は、日本の「国債サイクル」の維持を当面は望んでいると考えてよいでしょうか? あっしらさんなら、どのような戦略で、郵貯・簡保を掠めとりますか? からの続きです。 人気blogランキング 正統的手法での「国債サイクル」維持を望んでいるはずです。投稿者 あっしら 日時 2004 年 9 月 29 日 日本政府がデフォルトすることで“彼ら”に利はありません。... [続きを読む]

受信: 2007年6月26日 (火) 19時53分

» 「広義の軍関与あった」/仲里副知事が言及〜いいや、軍及び政府による明白な強制死だ! [情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士]
 沖縄での集団自決が軍の強制によるものとした教科書について、文部科学省が削除、修正させた「事件」で、沖縄の県議会で26日、【仲里全輝副知事は「当時の教育を含む社会状況の総合的な背景および戦時下における極限状態の中、直接的な軍命があったかどうかは定かではない」との認識を示した上で、「手りゅう弾が配られるなど広い意味での日本軍の関与があったと思う」と述べ、「軍命」の有無に言及した】(沖縄タイムス)という。  文科省に言いたい!集団自殺に軍の強制があったなかったに注文をつける前に、当時の政府及び日本軍が... [続きを読む]

受信: 2007年6月27日 (水) 03時06分

» 問題は、供給ではない。需要だ?! [晴耕雨読]
供給が有り余っている中で供給=需要、供給が上がれば自動的に需要が増えるという話は妄言にしか聞こえない。 大事なのは需要であり、潜在需要が有効需要になれば、それを埋め合わせる供給はすぐにも付いて来る。そして潜在需要というのはいつの世にも存在する。手元に十分な金さえあれば誰だって消費に回すのだ。問題は十分な金が手元になかったり、あっても将来の不安のために消費する気になれないところにこそある。 ケインズ経済学や戦時経済・復興経済によるデフレ撃退はこのような考えをまさに地でいったものである。今の日本の財... [続きを読む]

受信: 2007年6月29日 (金) 21時38分

» 日本は要らぬ、アメリカ主催『4ヶ国協議』に晴れてなりました @究極のジャパン・パッシング最終章、小泉"以降"安倍「盲従服米」外交の集大成 [ぬぬぬ?]
日米安保見直しなんて「現実主義だ」とか「新日米同盟だ」とか「国際的潮流だ」みたいな勝手極まりない言い振りで言ってるけど、この辺もそういう洗脳毒電波の一種の「つもり」なのだろうか? ... [続きを読む]

受信: 2007年7月 2日 (月) 07時25分

» 「ただいま帰りました、ご主人様」  @アキバ系コイズミ純一郎の帰任報告と慰安旅行、"新"日米同盟なんて許さん! [ぬぬぬ?]
  「お帰りなさいませ、ご主人様」 と京都の日米首脳会議では、ブッシュ様をお出迎えして言ったのであろうか? 6月の訪米ではきっと言ったに違いない   「ただいま帰りました、ご主人様」 今や日本は「メイド喫... [続きを読む]

受信: 2007年7月 2日 (月) 07時37分

« 「ミンチ」にしてしまえば分からんと言うことかい? | トップページ | 壊れてしまった民主主義をどう再生させようか? »