頑張れ!辻井伸行さん
辻井伸行さんがバン・クライバーン・コンクールで優勝したことをマスコミが大騒ぎするのは当然ですが、ところでバン・クライバーンという人を知っていましたか?・・と聞きたい。彼のことを覚えていたなら辻井伸行さんへの接し方にも当然注意してくれるのでしょうね!と言いたい。
クラシックのCDが売れなくなって久しいし、テレビカメラで追いかけ回す芸人にも不足している昨今だから、久しぶりの逸材にまとわりつく人たちは多いことと想像する。しかし激しく消費すれば、本人も激しく消耗する。それが心配なわけ。
クライバーンは60年代後半に活躍し、もてはやされ、70年代には名を聞くこともなくなってしまっていた。チャイコフスキー、ラフマニノフ、ベートーベン、シューマンと続いた協奏曲はどれも素晴らしかった。今聴いても良い演奏だと思う。チャイコフスキーを除いてオーケストラがシカゴ交響楽団で指揮をフリッツ・ライナーがしているのだから悪くなりようがないかもしれないが、それでもやっぱり彼のピアノは輝いていた。 その彼、後に確かベートーベンのソナタ集を出したときに余りよい批評がもらえていなかった。「そろそろ成熟してもらわなければ・・・」と言うような批評だったと記憶している。その批評が当たっているのかどうかは分からないよ。しかし、世の中(批評家?)の評価の水準が引き上げられてからは新しい録音の噂を聞かなくなってしまった。
クライバーンが彼の名をつけたコンクールが続いていることにどんな思いを持っているのかは分からないが、演奏家としてはコンサートや録音で活躍し続けていることの方に価値を見いだすのではないかと思う。日本人がたまたま優勝したから注目されているけれど、「バン・クライバーン?誰それ?」では悲しすぎる。
マウリツィオ・ポリーニはショパンコンクールで優勝後10年間コンサートも録音も断って、研鑽に励んだ。レパートリーと成熟度を増した演奏家としてショパンの練習曲集をひっさげて再登場して世間をあっと言わせ、今や押しも押されぬ大家として活躍している。辻井さんは盲目なのでこの点でもハンデは負っている。だからこそ落ち着いた環境が必要なのだと思う。フジ子ヘミングくらいになればリストのラ・カンパネッラを「下手くそだ!」と言われても「これが私のピアノ、いいじゃない、機械じゃないんだから」と平気でやり過ごしていけるだろうが、二十歳の辻井さんには無理そうで心配だ。
何時までも「盲目の」ピアニストだなんて枕を被せられて、マスコミや聴衆の好みやレコード会社の餌食にされないことを切に願うものです。
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コメント
ブログを読んでいて久々にいい記事を読んだと思いました。ごもっとも!
投稿: えぬむら | 2009年6月10日 (水) 21時55分
えぬむら様
コメントを有り難うございます。
励みになります。
投稿: hide | 2009年6月10日 (水) 23時54分