2009年11月15日 (日)

オバマ演説をどう見ました?

 昨日のオバマ演説はサントリーホールだったそうですが、招かれた人達はそれだけで大変名誉に感じ、まるでアメリカ市民になった錯覚にすら陥っていたのではないでしょうか? スタンディング・オベーションなんかも揃ってやっていましたが、日本の総理演説に対しては「まるでナチスみたいだ」なんて悪口を言っていた人達も喜んで立ち上がって拍手していたようです。演説途中に入る拍手も通訳が終わる前に良いタイミングでなされていましたので、サクラか演出者の存在を感じてしまいました。オバマ大統領も気持ちよさそうでした。多分アメリカ人よりも日本人の方が共感を持って演説を受け止めてくれている事が伝わっている。

 皮肉で始めてしまいましたが、かく言う私もつい聞き惚れてしまった者の一人です。語り口も上手いし振り返ってみて内容も良かったと思います。自民党もマスコミ各社も揃って「普天間移転を早く受け入れないと大変なことになる」と国民を脅すような意見を吐き続けていますが、世界はもっと大きな変化を遂げようとしているとの感を強くしました。普天間が例え従前通りの計画で決着を見たとしても早晩大きな変更を余儀なくされると感じました。

 オバマは選挙中にイラクからの撤兵とアフガニスタンへの介入強化を主張していました。私は両方からの撤兵を主張したのでは選挙を勝てないとみての方便ではと観ているのですが、方便ではなく本気でテロとの戦いを意識しているとしても軍の要求する4万人の増派を決断できないでいるのは、それで勝てるとは確信できないからでしょう。extremists(過激派)という言葉を使ったのもアフガニスタンにおいてはタリバンを過激派とそうでない派とに分けて考えていることを示唆していると思うし、タリバンが政権に入ることをも既に想定して脚抜きを考えているとすら思える。 それを言い出せないのは、今引いたらアフガニスタンどころか核保有国のパキスタンまでが崩壊しかねないからであり、アメリカの威信は崩壊しイスラエルの安全も保証できなくなり、ひいてはサウジまでもがひっくり返ってしまいかねないからだろう。

 引くに引けずに本当に困っているのだと思う。--その原因を作ったブッシュと小泉は日本シリーズの始球式何ぞをやっているのですから暢気なものです。--だから、アラビア海での給油は帰ってもらって構わないし、5年間で4500億円というアフガン支援策を歓迎しているのだと思う。本気で脚抜けのために協力してもらいたいと思っているのだ。軍事オプションで解決がつかないことは思い知っている。65年間実戦から遠ざかっていた自衛隊では無理なことも重々知っている。日本には知恵を貸して欲しいのだ。民生を安定させる知恵と金と汗を望んでいるのだ。そう思いますよ。

 2国間関係に加え、多国間の組織の成長が、地域の安全保障と繁栄を前進させるとわれわれは信じている。米国がこの数年、これら多国間の組織から距離を置いていたことを私は知っている。はっきりさせよう。そうした日々は終わった。アジア太平洋の国家として、米国は地域の未来の在り方をめぐる議論に関与し、こうした組織が創設され発展するに従い、適切な組織に全面的に参加していく。(共同通信訳)
 私は以前、自民党は「抱きつき戦略」だったと言ったけれど、アメリカに抱きついて中国の台頭に対処していこうという自民党が考えてきた日米同盟はここで完全に否定されたと観る。「従属」していたと言われるとアメリカは怒るのだそうだけれど、都合良くアメリカを利用してきたのは日本の方だという思いもアメリカにはあるという。日本の為に「中国封じ込めなんかはしませんよー」との宣言だし、アジア各国とも関係を深めていくと言っている。しかもここで言われているのは軍事的存在感ではなくて経済だ。何より「雇用戦略」だと言っている。こんなアメリカなら私も歓迎する。

 核兵器廃絶に関するアメリカの立場は何とか筋が通ってきた。NPTの取り決めに立ち返ること--すべての国が原子力を平和的に利用する権利を持ち、核保有国は核軍縮に取り組む責任があり、非核保有国は核兵器を放棄し続ける責任がある--が改めて宣言された。 北朝鮮もイランも一筋縄ではいかない。核兵器保有の意志があるだろうイランに平和利用のみを受け入れさせるためにはイスラエルの核兵器を廃棄させるというハードルも当然持ち上がってくる。これをアメリカは越えられるのかどうか、難しいところだ。 北朝鮮は経済的な破綻が酷すぎる。しかし、現体制維持のためには経済に力をさいている余裕がない。経済援助を受け入れる余裕すらなくしているのでは?と感じる。核兵器廃棄の説得と経済援助が対になるが、安全保障の約束を信じる基盤があるかどうか? かなり飛躍かもしれないけれど、金正日政権の安全保障のために海兵隊を沖縄からグアムかハワイにひくという選択もあり得るかもしれない。軍は反対するだろうけれど、政治的にはあり得ると思う。

 ミャンマーの軍事政権とも交渉をしていくことになりそうで、経済封鎖は解かれるのだろう。イランへも北朝鮮へも経済制裁を加えてきたけれど、その効果は無かったと言うことだ。少なくとも有効に作用しなかったという結論になりそうだ。 交渉するのであれば日本の出る幕もあるのではないかと思いました。

 こうやって振り返ってみても、オバマ演説のすばらしさに比較して現実政治の難しさは想像以上だと思う。しかし希望が見えてきたというのも事実です。軍事オプションを持たない日本にこそ協力して欲しいことがたくさん出現していると思います。「普天間が、普天間が・・」と繰り言を言っている自民党政治から頭が切り替わらない人には見えてこないところでしょうけれど・・・。

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2009年11月 8日 (日)

北朝鮮政策は転換する!

 床屋のご主人も注目していたNHKスペシャル「秘録 日朝交渉~知られざる“核”の攻防~」を見終えました。 --金正日総書記は何を考えているのか。日朝首脳会談を核問題の視点から検証。会談の極秘資料を手がかりに日本と国際社会が、いま北朝鮮とどう向き合えばよいのかを考える。--のだそうですが、「極秘資料」なるものを「公開」して、しかも外務省の新旧幹部を「出演させ」て、何を言いたいのか?と、裏事情の方が気になってしまうのですが・・・。

 西山事件では、今は存在していない「極秘メモ」の漏洩なるもので毎日新聞記者の社会的生命を奪った外務省幹部が、「極秘資料」を前にし平然とインタビューに応じているくらいですから、何らかの意図を持って作られた番組であることはあきらかだと思う。 余り深くは考えないことにしますが、密約問題の調査を命じられている外務省が長年の自民党政権下で行ってきた外交交渉をこれからの民主党政権下で行われるであろう方針にすりあわせていく作業と言うことが出来るだろう。自己弁護であり自己正当化であると言える。 「六者協議」は我々が言い出したことだ--なんてところは自慢の域に達していますね。

 中で特に面白かったのが小泉総理と金正日とのやりとりのところ。「アメリカは先制攻撃の意図は持っていない」なんて主張していたのですね。 `;:゙;`;・(゚ε゚ )ブッ!! 「おまえが言うなよ!」って、つい突っ込みを入れていました。 「武装解除して核も持っていなかったからイラクはやられた」って金正日は認識しているのに、「サダム・フセインは大量破壊兵器を持っていないことを証明していない」としてブッシュの戦争を先頭に立って支持した小泉が言うか?? (゚Д゚)ハァ? よく言えるよなー

 動機は十分不純だとは思うが、行われようとしている方針転換は正しいと思う。鳩山首相の所信表明演説にあったように「日朝平壌宣言」に立ち返ると言うことです。 番組内で得意そうに語っていた安倍晋三氏が推進してきた「経済制裁」一辺倒の方針を翻すという宣言である。 拉致問題は朝鮮半島の非核化と国交正常化、経済援助(北朝鮮側からは植民地時代の賠償)を絡めた交渉の中で解決を目指す方針に変更すると言うことです。 ですから、この番組はこうした方向転換のための世論に対する地ならしと言えるのではないでしょうか?

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2009年11月 3日 (火)

ブッシュ、小泉に靴を!

 テレビでも新聞でも話題になっていないので、「ホンマカイナ?」と半信半疑でしたが、ブッシュ前大統領が日本シリーズの始球式をやるというのは本当のようです。

 【ワシントン=小川聡】ブッシュ前米大統領が11月3、4の両日、今年1月の大統領退任後初めて、日本を訪問することが30日、関係者の話でわかった。

 前大統領は3日に東京ドームで行われるプロ野球日本シリーズ第3戦で始球式を行う予定。4日には、都内で講演するほか、民間団体主催の日韓関係のシンポジウムに出席するという。
(2009年10月31日14時59分 読売新聞)


 こんな恥さらしなことを考えるのは誰なんだろう? 小泉純一郎をはじめとする町村派に集う連中でしょうか?そういえば昨日の予算委員会で町村信孝氏は意味深なことを口走っていた。

 相変わらずの偉そうな口ぶりで「オバマ大統領は来ないなんてこともあり得ますよ・・・」なんてことをほのめかしていた。未だにブッシュ時代の単独覇権主義への「抱きつき戦略」(従属と言うよりもこう言った方が相応しいと今は考えています)の夢よもう一度との考えを捨てていないようだ。ブッシュの時代からの決別をアメリカは選択したし日本もアメリカへの「抱きつき戦略」からの脱却を選択したと思っている。選択はしても実行は難しいのは世の常で、オバマもブッシュの始めたイラク戦争とアフガニスタンから軍を引けなくて苦しんでいるし、日本の民主党も自民党とブッシュ政権で決めた米軍再編と日本にある米軍基地の再編への協力の枠組みからの脱却で苦しんでいるのは同じだ。

 はっきり言わせてもらえば、ブッシュと小泉と町村とで決めた枠組みから抜け出そうと今、みんな苦しんでいるのです。町村信孝氏はその責任を全く自覚していないようだ。だから小選挙区では落選させられたのです。「お前が言うなよ!」とは町村信孝のためにあるような言葉なんです。

 実際、ブッシュを招いて日本シリーズの始球式をさせようと考えた連中は「オバマ来日阻止」を狙って動いているのかもしれない。「普天間移転にぐずる民主党に不愉快だからオバマは来なかった」との筋の話を実現すべく動いているのだろう。それが成功すれば鳩山政権にとっては大打撃な事は間違いないが、その時にはオバマがアメリカの軍産複合体に取り込まれたときだとも言える。その時は中東は悲惨なことになるし、日本も貢がされて悲惨なことになりかねない。だから是非ともオバマには来日してもらわなければならない。

 オバマ政権と鳩山政権とが苦しんでいるのは同じ根っこのものです。

 ブッシュと小泉が並んで映ったらスリッパを投げつけてやります。
---なにせ室内なもので・・・coldsweats01

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2009年10月30日 (金)

方向性をはっきりと!

日米同盟のあり方「包括的に再検討」…首相答弁

 鳩山首相は29日、参院本会議での代表質問に対する答弁で、日米同盟のあり方を再検討する意向を表明した。

 首相は「日米同盟は日本外交の基軸だ」としたうえで、「来年は日米安全保障条約改定50年の節目を迎える。日米同盟のあり方全般について、包括的なレビュー(再検討)を新政権として行いたい」と述べた。

 これに関連し、首相は同日夕、首相官邸で記者団に対し、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)、日米地位協定、米海兵隊普天間飛行場の移設問題をあげ、「どういう解決策があるか、しっかり議論して結論を出したい。レビューが必要だ」と説明した。

 また、首相は同日午後の衆院本会議で、思いやり予算について「我が国の負担を効率的で効果的なものにするため、包括的見直しが必要だ」と答弁し、削減に意欲を見せた。
(2009年10月29日22時40分 読売新聞)


 岡田外相と北澤防衛相との間で沖縄の基地に関する考え方が定まっていない印象を強くしていますが、ともかく鳩山総理は「日米同盟」のあり方全般について再検討すると答えた。

 言やよしです。オブラートにくるんではいるけれど再検討とは沖縄の米軍基地縮小であり思いやり予算の削減であることは確かだろう。しかし問題は鳩山総理の意志がどこまで民主党内部に浸透しているか、ないしは総理の覚悟がどれ程のものかです。政権を取ってから検討するというのではあまりに暢気ではなかったか?政権奪取確実と思われたこの一年間くらいは真剣に考え抜いて、一定の方向性くらいは党内一致していても良いことなのに出来ていなかった。

 自民党やマスコミ各社から総批判を食らった、小沢一郎氏の「米国のプレゼンスは必要だが、おおむね(米海軍横須賀基地に拠点を置く)第7艦隊の存在で十分だ。日本の防衛に関することは日本が責任を果たせばいい」との発言は大きな方向となり得ると思っている。少なくとも鳩山総理が確固としてこの方向性を踏まえて発言していれば北澤防衛相のような発言は出てこないはずだ。

 先ほどオブラートでくるんだような言い方と言ったけれど、再検討の結果、辺野古沖への拡大基地提供があり得たり、思いやり予算の増額があり得ると思わせるような曖昧な言い方は百害あって一利無しだ。敵(この場合は自民党、米軍、ゼネコンなど)を勢いづかせるだけだと思う。これは民主党がやろうとしていること全般に言えることだ。

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2009年10月27日 (火)

「自分の国くらい自分で守る」って!

 昨日の所信表明演説は良かったと思っています。「お涙ちょうだい・・」と批判している自民党議員がいましたが、感動させるくらいの理念を語れる首相が誕生したことをまずは喜びたいと思っています。

 予想していたことではありますがアメリカとの関係については首相自身が逡巡している事を示していました。その予想は早速北沢防衛相の発言となって現れた。

 北沢俊美防衛相は27日の記者会見で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)への移設を含む日米両政府の合意案について、米軍再編計画の見直しを掲げた民主党公約と必ずしも矛盾しないと指摘、名護移転の容認を示唆した。

 北沢氏は民主党が普天間飛行場代替施設の国外、県外移設を主張してきたことを踏まえつつ「(日米合意案が)選挙公約をまったく満たしていないと認識するのは少し間違いだ」と述べた。
北海道新聞 (10/27 14:25)


 普天間基地を辺野古沖へ(拡大)移設する案の前に苫東への移転案を持ちかけていたことを守屋前防衛事務次官が琉球新報のインタビューに応じてばらしているが、事実だったとして今の時点で明らかにする意図は辺野古沖への移転案の受け入れを迫るもの以外にはあり得ない。(誰が糸を引いているのか興味深いところだ。)
 ―海兵隊機能をまとめて移す場所があるのなら、普天間飛行場の県外移設は可能か。
 「県外移設は難しい。太平洋から中東に至る地域の安定は世界の大きな関心事だ。この地域の安全保障環境を維持するため、米国は陸・海・空の3軍種の機能を有する海兵隊を、沖縄に配備し、紛争や災害に即応する態勢を取っている」
 「沖縄では、キャンプ・シュワブ、ハンセンの地上部隊と普天間飛行場の航空部隊と北部訓練場の三つの施設が海兵隊機能を支えている。日本の最南端に位置し、アジア・中東に最も近い位置にある沖縄の戦略的価値は日本のほかの地域で代替できない。本土でこれだけの大規模な土地を提供できる地域はない」

 普天間ばかりではなく、三つの基地と訓練場をまとめて沖縄から北海道に持ってくる(北海道在住なもので)なんて事は現実的な案だとは思わない。辺野古沖への移転を受け入れさせるための見せかけの案、またはでっち上げの案だ。言い換えると辺野古沖への移転がさも合理的に見えるように作り上げた対案に過ぎないと言うことです。こんな話しを今の時点で出してくると言うことはかなり悪質だ。

 着々と辺野古沖への移転案を受け入れるよう外堀を埋めてきていると感じるのだが、北沢防衛相には抵抗する姿勢も知恵も期待できそうもない。 と思っていたところ、今度はインド洋での給油に関しても北沢発言がなされた。

 北沢防衛相は27日の閣議後の記者会見で、インド洋で給油活動を行っている海上自衛隊の補給艦について、来年1月の法律の期限切れで撤収した後、アフリカのソマリア沖での海賊対策に転用することを検討していることを明らかにした。

 防衛相は、海賊対策に参加する各国の艦艇に海自の補給艦が給油支援を行うことは「十分考えられる」と述べた。
(2009年10月27日13時20分 読売新聞)


 ズルズルと後退して、結局は自民党と同じ結論でしたというのでは余りに情けない。米軍は褒めてくれるかもしれないが・・・民主党支持者の大半は落胆する。

 日本の安全保障の問題そして基地問題はゲーツ国防長官が記者会見で話していたように「それでは日本の安全を保証できなくなる」と脅される事をほったらかしておいて決断できることではない。「自分の国くらいは自分で守る」と言えなければ、沖縄の米軍基地は無くならない。それは当然に軍事力の問題にも踏み込まなければならないし、強化もあり得る。これを国民の議論にかけずしては前に進めない。

 戦後60年を過ぎているんだよ。何時までも(事実上の)占領状態を続けていて良いわけがない。「自分の国くらい自分で守る」と言えなければアメリカ軍にお引き取り願えるものではない。自立するというならアメリカといえども止めることは出来るものではないと思う。そのための「東アジア共同体」ではないのか?私はそう受け取っているのだけれど・・・。

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2009年10月10日 (土)

オバマ大統領にノーベル平和賞!?

 オバマ大統領がノーベル平和賞受賞だそうです。大阪の人がインタビューに答えて「何をしたの-?」って言ってたけど、私も「まだ何も実現したわけではない」というのが正直なところです。

授与理由は

 本委員会は国際的な外交と諸国民の協力強化に向けたオバマ大統領の比類なき努力を理由に授賞を決めた。とりわけ「核兵器のない世界」の構想とそれに向けた取り組みを重視した。

 オバマ氏は国際政治に新たな環境をもたらし、国連をはじめ国際機関の役割を重んじる多国間外交が中心的な位置を回復した。困難な国際紛争の解決手段として対話と交渉が優先される。「核兵器のない世界」を目指す構想は、軍縮交渉を力強く促した。オバマ氏の主導で、米国は今や、世界が直面する気候変動問題でより建設的な役割を演じている。民主主義と人権は強化されよう。

 オバマ氏ほど、世界の注意をひきつけ、よりよい未来に向けて人々に希望を与えた人はめったにない。彼の外交は、世界を主導する者は世界の大多数の人々が共有する価値と態度に基づいて行動しなければならないという考えに立脚している。

 本委員会は108年間、オバマ氏が今まさに提唱する国際的な方針を促すことを目指してきた。「今は、地球規模の課題に対処するため、我々全員が応分の責任を果たすときだ」とのオバマ氏の訴えを支持する。
(2009年10月9日20時45分 読売新聞)


 国際政治の枠組みを一国主義の行動でぶちこわしたブッシュ前大統領への当てつけのニオイがぷんぷんする。だから、何も業績を上げたわけでないけれども表彰すると言うことなのだろうかね。それとも、余程肩入れしてあげなければ潰されてしまうに違いないという親心だろうかね。

 まずはオバマに対する試金石はアフガニスタン問題でしょう。

 【ワシントン=弟子丸幸子】オバマ米大統領は9日、ゲーツ国防長官や米軍制服組トップのマレン統合参謀本部議長らとアフガニスタンの戦略見直しに関する4回目の会議を開き、米軍増派の問題を巡る初の協議に入った。米報道によると、議論の土台となった現地司令官の報告書には3つの選択肢があり、「6万人超」の大規模な増派案も含まれているという。

 同日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルは、報告書には(1)ほぼ現状維持(2)4万人増派(3)6万人超増派――の3つの選択肢があると報道した。現地司令官は「4万人増派」を第一に要望しているという。

 アフガン駐留米軍数は年末に6万8000人の体制となる。6万人超をすべて米軍で増派した場合には、13万人の規模になり、イラク駐留米軍の数(約12万人)を初めて上回ることになる。(11:52)日経新聞


 三つの案が検討されているという報道ですが、撤兵は選択肢にない。アフガン駐留米軍のマクリスタル司令官ですら4万人増派を要請しているというのにそれを超える6万人増派なんて事があり得るのだろうか?

 良いタリバンと悪いタリバンを区別して悪いタリバンだけを孤立させて殲滅する、なんてことを考えているらしいのですが多分深みにはまるだけだ。そもそもタリバンと一般人とを区別することが出来ないだろう。区別するためにはアフガン人の中に深く入らなければならないと思うが今の米軍兵士にその任が務まるとは思えない。多くの犠牲を覚悟してアフガン人の海に分け入ることなど今の米兵には出来ない。犠牲を覚悟した作戦が出来ないからこそ空爆を繰り返して民間人の犠牲者を増やしているのだろう。何万人増派したところで空爆主体を変更しようが無く、一般のアフガン人の犠牲を増やす結果にしかならないだろう。戦争継続のための理屈を持ち出してくる軍産複合体に連なる人脈の言を信じることなど出来はしない。そのことは「冬の兵士」達の証言を読んでみれば分かる。

 オバマの実像は分からないが、軍産複合体に連なる人達に囲まれていることは容易に想像が付く。彼らの抵抗を押し切って撤兵の方向に舵を切れるかどうかは全く分からない。何せアメリカにとって最大の公共投資は戦争だと言われるくらいだから、日本ではダム工事中止だけでもあれほど大騒ぎしている位なのだから、戦争中止がダム中止程度の抵抗で済むはずもないのです。そこは分かります。

 ノーベル平和賞をもらった大統領が任期の終わりにイラク、アフガニスタンどころかイランでも戦争をしているなんてならないことを切に望みます。そうなればブッシュ以上に悪評の中で退場することにだってなりかねない。いえ、ノーベル平和賞をもらった大統領に相応しい業績を上げられることを切に願っています。

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2009年9月 6日 (日)

少しは心配させても良いのでは?

 今週末は二日ほど遠方で肉体労働に励んできたので体がシンドイ。夜遅くに帰宅した後はひとっ風呂浴びて泥のように眠ったのですが、とても一日では疲れがとれず、今日になって漸く頭が回り始めました。

 政権交代が適った選挙から一週間が経ちますが、新聞の方は鳩山、小沢、菅、岡田が内部で権力闘争を繰り広げていて、お互いの嫉妬心を煽り立て、分裂騒動でも起きてくれることをひたすら願うというか切望する記事を書き殴っていて実に読むに耐えない。麻生総理の時には毎度毎度「何時解散するのですか」との質問ばかりで、選挙後は自民党の内紛と民主党の内紛を有ることないこと強調している。政治ではなく政局にしか関心がなくなってしまっている。 新聞はクオリティ・ペーパーへの道を諦め、芸能週刊誌と対で勝負する道を選択したかのようである。

 鳩山代表の雑誌への寄稿文がアメリカで訳載され問題になっている。事実経過としては、鳩山事務所が正式に了解しての掲載のようなのでつまらない言い訳はしない方が良さそうだ。「民主党代表の思想を披瀝したまでで、それが何か問題でも・・・?」とでもすっとぼけて良いのではないか? 今朝の読売朝刊では早速マイケル・グリーン氏が「鳩山代表の論文は、反グローバリゼーション的傾向と反米色を含んでいて・・・」と批判してきている。日米政権の交渉に向けた心理戦は既に開始されていると考えるべきで、初めての政権担当でごたごたしているときには準備が整うまで時間稼ぎをすべきだと思う。拙速に弁解を重ねたのでは今後の交渉に不利に作用しかねない。 「対等な日米関係を謳う鳩山総理はどんな政策を打ち出してくるのか・・・?」と考えさせておくくらいのことは悪いことではないだろう。自民党政権時代のように過剰にアメリカのご機嫌を気にするというのは、交渉以前に負けていることを意味すると腹をくくるべきだ。

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2009年8月15日 (土)

謝罪は和解への第一歩!

 今日は終戦記念日です・・・と言うか敗戦記念日です。13日の読売新聞夕刊一面に大きく報じられていた記事が気になっていました。

バターン死の行進、元米捕虜らを日本招待へ

 政府は、第2次大戦中の1942年4月、日本軍がフィリピン・ルソン島で行った「バターン死の行進」で生き残った元米兵捕虜らを、来年度日本に招待する方針を固めた。

 政府が元米兵の捕虜を公式に招待するのは初めて。

 元捕虜の間には、今もなお反日感情が残る人々もおり、日本政府としてはこうした活動を通じ、日本に対する理解を深めてもらいたい考えだ。

 「バターン死の行進」をめぐっては、米国内に元捕虜で作る「全米バターン・コレヒドール防衛兵の会」があったが、高齢化に伴い、今年5月、テキサス州サンアントニオで解散式が開かれた。

 この会合に、藤崎一郎駐米大使が日本政府を代表して出席した。「バターン半島・コレヒドール島などで、悲惨な経験をした元戦争捕虜を含む多くの方々に、多大な損害と苦痛を与えたことに、心からのおわびの気持ちを表明します」と謝罪した。日本政府が元米兵捕虜に直接謝罪したのはこれが初めてのことだ。

 計画は、大使の謝罪を受けて動き始めた。来年度中に実施される見通しだ。対象となるのは、「死の行進」の生存者を中心に、元捕虜やその子孫ら数百人となる見込み。記念行事への参加や日本の青少年との交流、一般家庭へのホームステイなどが想定されている。

 政府は2004年度までの10年間、日本が戦争被害をもたらした国との関係を改善するため「平和友好交流計画」を実施した。外務省によると、オーストラリアや英国、オランダの元捕虜については日本招待を行ったが、激しく戦った米国からの招待は実現していなかった。

 一方、日本の戦争被害者らの間からは、政府の計画に疑問の声もあがっている。米国は原爆投下や無差別空襲などの犠牲者に謝罪していないためだ。日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳事務局長は、「米軍捕虜を招くなら、政府は米国に原爆や空襲の犠牲者への謝罪を求めるべきだ」と話している。
(2009年8月13日14時35分 読売新聞)


 藤崎一郎駐米大使が直接出向いて謝罪したというのだけれど、「何で今なの・・・?」、「今頃になって・・・何故?」との疑問とが拭えない。この問題は「バターン死の行進」と言われる直接の事件だけにとどまらなず広範に存在していた捕虜の虐待と使役に関していることなので「触れないようにしていた」問題のようなのだ。強制連行や従軍慰安婦問題なんかとも通じる背景があるように思う。

 アンタッチャブルな事が今になって触れられたのには何か理由があるものだ。 確か昨年、麻生炭鉱が捕虜を労役に使っていたという書類の存在が明らかになったとの話しがあったが、自民党の政治家の来歴に傷が付かないように日米政府はこの問題に目をつぶってきたと言うことなのだろうか? 確かに自民党の政治家には戦争責任に関してスネに傷を持つ人が多かったし、東西対立の中でこうした政治家達を利用したアメリカも自国民の不当待遇を無視してまで保守政治家を保護したと言うことか? 東西対立は終わったし、長期自民党政権も終わるので外務省としては民主党政権になって攻められる前に済ましておかなければならない事の一つとでも考えたのだろうか? だとしたら、自民党も外務省も(アメリカ政府も)、どっちもどっちだと思うのだが、ともかく公式に謝罪したと言うことは良いことだと思う。政権の利害はともかくアメリカ人も日本人もいがみ合う必要は何もない。和解へ踏み出すのを躊躇う理由は何もない。

 しかし、読売の記事が「米軍捕虜を招くなら、政府は米国に原爆や空襲の犠牲者への謝罪を求めるべきだ」との田中煕巳事務局長(日本原水爆被害者団体協議会)の発言を引用して締めくくっているのはどうだろうか?この文脈の中で引用されると原爆被害者は「向こうが謝罪しないのだからこちらも謝罪する必要はない」と主張しているように思われてしまうのだが、多くの被爆者の発言を聞いているがそんな意図で被爆体験を語っている人はいないように思う。「こんな悲惨なことが二度と人類の上に起こらないこと」を真に願っているのだと思うのです。

 アメリカ人の多くは未だに広島・長崎への原爆投下は戦争終結を早めるために必要だったと考えているそうです。パール・ハーバーへの復讐だとすら言い放つ人までいる。これは謝ってほしいと考えているわけではない被爆者には耐え難いほどの屈辱だと思う。 こちらが謝って、それで彼らが広島・長崎そして多くの都市爆撃を直視する気になるのなら大きな進歩に繋がる。国家の命令で国民はどんなことをさせられたのかをアメリカ人も日本人も直視すべきなのだ。アメリカの正義(日本の正義も)が成り立つかどうかを広島・長崎を見たあとで考えると良い。日本人とアメリカ人が共通の認識に立てない理由はないと信じる。

 読売新聞はこのような文脈で記事を書いてくれると良かったのに・・・。

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2009年6月13日 (土)

チキンレースはいい加減にやめろよ北朝鮮!

 鳩山総務相が事実上更迭された。株主である政府の監督官庁たる総務大臣が再任を認めないというのだから西川氏が辞任するのが筋だと思うのだがそうはならなかった。後任が見つかれば西川辞任の線もあり得たが財界が後任を出さない事を決めている時点で勝負あったと言うことか?前回の衆院選が郵政民営化是か非かを争点として大勝利している以上、新社長が官僚では選挙は戦えないと感じた議員が多いとしても無理はない。 別に鳩山氏が更迭されたのが惜しいと思う者ではないが、かんぽの宿問題で人気を得た鳩山邦夫が先走りしてカードを明かしてしまったところに敗因がありそうだ。後継社長を見付けてから再任を認めないとブチ上げるべきで、見つからなければ再任に条件をつけることでメンツは立ったのだ。最初にブチ上げてしまえば引くに引けない状況に陥ってしまう。

 鳩山総務相が更迭に到るニュースを北朝鮮の最近の動きと似ているなーとずっと気にしていました。イヤ、鳩山や麻生が困っても知ったことではないのですが、北朝鮮の行動は大問題を引き起こしかねない。そして、最近の北朝鮮にはチキンレースをやっているとの認識を持って、コントロールしている人間がいるのかどうか心配になってくる。

 核開発もミサイル開発も莫大な資金が必要で、日本のどの一県よりも小さいくらいのGDPで、国民を飢えさせて本当に続けられるのかという疑問が常にある。そうやって援助を得られると考えているとしたら、それ自体が尋常ではない。 先日は開城工業団地での賃金を4倍に上げろとか新たに土地の使用料として5億ドルを支払えと要求しているという。これなんかも無茶な要求と言うよりも「だから言わんこっちゃない」というようなものに見えてくる。もう苦し紛れと言うことで、自分たちの窮状を白状しているに等しいように思うのだが。

 明らかにチキンレースを仕掛けている方が恐怖に気が狂ってきているとしか思えない。こちらが自制しなければ行き着くところまで行きそうな気配を感じる。

 今日未明の国連安保理で新たな決議が採択された。中国が反対したからだと報道されているが、貨物検査が「義務」ではなく「要請」に押さえられた事で、ひとまず北朝鮮政府に方向を変えるなりブレーキを踏むなりの道を残したという意味で歓迎したい。しかし、この機会を生かすだけの力が金正日にあるのかどうか心配なところだ。この決議に再度の核実験やミサイル発射で答えてきたときにはどうするのか?

米大使「いちいち仕返しせず」=対北朝鮮、新たな挑発でも追加制裁に慎重?

 【ニューヨーク12日時事】米国のライス国連大使は12日、国連安保理による対北朝鮮制裁決議採択後、ホワイトハウスで記者会見し、北朝鮮が3度目の核実験や弾道ミサイル発射を強行した場合の対応について、「挑発行為に対しその都度仕返しするつもりはない」と述べた。安保理による追加の制裁措置に慎重な姿勢を示唆したとみられる。
 同大使はまた、さらなる挑発があっても「(制裁の)完全履行実現に集中的に取り組むことになる」と強調。制裁決議を採択したばかりであるため、決議に盛られた既存制裁の履行徹底を図る方が効果的との認識を示した。
 一方、高須幸雄大使もニューヨークでの記者会見で「何か事があるたびに決議を通すのが実際的なのか、という気はする」と指摘。外交筋によれば、日本は3度目の核実験があれば安保理に緊急会合開催を要請する方針だが、具体的にどういった対応を求めるかは不透明だ。 (2009/06/13-10:08)


 今の時点で、核実験やミサイル発射をされても「追加制裁に慎重」とのメッセージを出すことが良いとは思えないのだが、とにもかくにもアメリカはこれ以上北朝鮮を追い詰めたくないとの意志を示したと思う。しかしこの政策をオバマ政権が継続していけるかどうかも北朝鮮の出方に掛かっている。 そして、それを読めるだけの指導部が北朝鮮にあるのかどうか?

 戦争も北朝鮮政府の崩壊も大災厄だ。しかしどちらの可能性も本気で考えておかなければならない時が来たように思う。

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2009年5月27日 (水)

北朝鮮の核実験とオバマ演説

 北朝鮮が25日に2回目の核実験をした。前回は不完全と言われていた核爆発が今回は地震波の大きさから判断して完成させてきた見込みが強い。ミサイル実験も継続しているので急いで核保有国としての体裁を整えつつあることを認識しなければならない。

 「許し難い暴挙」と非難してみても彼らは核保有国への歩みを止めることはないだろう。しかし「理解しがたい行動をする国」と言ってすましていることは出来ない。今後は安保理で新しい決議を採択する方向に進むのだろうが、それによってどうした事態が引き起こされるのかを見極める必要がある。

 まず、北朝鮮の行動が「理解しがたい」ままでは如何にもまずい。経済援助狙いの瀬戸際政策というのが一番ポピュラーな見方だと思うが、援助する方だってそんなにお人好しではないし、援助される方もそれが分からないほど馬鹿ではない。イヤ、だから理解しがたいと言うのでしょうが、別の角度から見てみると見えてくることもある。日本人の場合はとりわけ拉致された家族達の憎しみから距離を置いてみることが必要だ。

 何度か書いてきたところですが、北朝鮮は「アメリカが恐ろしくて仕方がない」のだと言うことが大事です。「ならず者国家」と言われるほどには強力ではない。南北統一を目指して自分から仕掛けた戦争とはいえ朝鮮戦争で一度は破滅の瀬戸際まで追い詰められた国であり、アメリカによって核兵器の使用を現実に検討された国でもある。そして現在も飢え死にしそうな国民を抱え、駐韓米軍と非武装地帯を挟んで対峙し、海側から日本の自衛隊と米軍によって包囲されているちっぽけな国だ。こうした恐怖感が「強盛大国」だとか「先軍政治」だとかの馬鹿げた大言壮語の陰にあると言うことを知らなければならない。

 私たち日本人は60数年前にアメリカと戦い、国土を焼け野原にされ、広島と長崎に核爆弾を実際に使われた国民なのですが、占領政策が余程巧妙だった為か、日本の政治家の飼い慣らしに成功したためか、実質的に占領が続いているにもかかわらずアメリカを憎いとも、怖いとも思わない国民となってしまっている。広島と長崎に原爆を落としたアメリカをはじめとする核大国の安保理常任理事国と一緒になって、核実験をした北朝鮮を一所懸命非難するというのは考えてみると不思議な図だ。

 オバマ大統領はプラハで「核兵器のない世界を目指す」との演説を行った。画期的なことだと思うし、実現してほしい理想だとは思うが、その論理はそんなに簡単に受け入れられるものではないと思う。何よりこの主張をする国が散々核兵器をつくり配備してきた国であり、散々他国に軍事介入を繰り返してきた国であるからだ。大国同士がお互いに破滅しないように、管理しやすいように核兵器と運搬手段を減らしていくことは良いでしょう。しかしこれは次の核拡散を防ぐ為の行動に対する正当性の補強の意味が強いのだと思う。散々勝手をしてきた国が、他国に核開発の停止を強制していくためにはそれくらいのことはしなければ格好がつかないと言うことだ。--ちょっと皮肉が過ぎたかもしれませんが、プラハ演説の肝は核兵器の廃絶の方にあるのではなく、核拡散をどうやって防いでいくかの方にあると見ます。オバマはプラハでの演説で次のように言っています。

 核実験の世界規模での禁止のため、私の政権は、直ちにかつ強力に、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を目指す。50年以上の協議を経た今、核実験はいよいよ禁止される時だ。

 核兵器に必要な材料を遮断するため、米国は、核兵器用の核分裂性物質の生産を検証可能な方法で禁止する新条約(カットオフ条約)を目指す。核兵器の拡散を本気で止めようとするなら、核兵器級に特化した物質生産に終止符を打つべきだ。

 次に、我々は核不拡散条約(NPT)を強化する。国際的な査察を強化するために(国際原子力機関〈IAEA〉に)さらなる資源と権限が必要だ。規則を破ったり、理由なくNPTから脱退しようとしたりする国に、すぐに実のある措置をとる必要がある。民生用原子力協力のため、国際的な核燃料バンクを含む、新たな枠組みを作り、核拡散の危険を増すことなしに原子力利用ができるようすべきだ。 (朝日新聞)

 と、力強く言うのですが、ここには平和的利用を認めたNPT体制ではインドもパキスタンもイランだって北朝鮮だって核保有することを止めることが出来なかったし、出来ないというアメリカの苦境が滲み出ている。そうした平和利用に限定した燃料の枠組みが出来ることは好ましいとは思うけれど、燃料供給を大国に依存することの危険をどう考えるかという問題もある。信用されるような行動を過去にとってきたかと言うことを自分の胸に聞いてみれば分かると思うけど・・・。そもそもCTBTはアメリカをはじめとする核保有国がどこも批准して来なかったのだから、せめて「批准してから言いなさい」ってところだろう。

 アメリカが「核兵器の先制使用をしない」宣言というのをしているのだから安心して核開発を止めなさいと言う議論がある。国際関係のなかでは日本は比較的約束を守るし、アメリカに対する警戒感も薄いのでこうした宣言を高く評価する傾向にあるが、この議論は世界標準ではないだろう。宣言はその国の意思に依存するもので何時又撤回されるか分かったものではないのだ。相手に頼り切っている国のなかだけで通じる議論だ。

 北朝鮮が自分達のアメリカに対する恐怖感から核開発を進めてきたというのは理解できる。イラクのフセイン大統領の末路を見せつけられれば尚更だ。しかし、それにしても最近の行動は性急すぎて慎重さを欠いている。これでは中国を苦況に追い込むだけで良い結果は得られないと思う。それにオバマを甘く見るのは危険だ。核拡散防止の決意を世界の前で宣言した事が米朝二国間の交渉に応じるという方針を採りにくくする面がある。つまり強硬姿勢に転じる恐れが常にあると言うことだ。韓国、中国、ロシアが国境を接しているので、いきなり軍事行動と言うことは考えにくいが、甘いカードは切りにくくなっているのが現状だ。PSI(大量破壊兵器拡散防止構想)による臨検から暴発という自体も考えられなくはない。アメリカは真珠湾攻撃の時のように先に戦端を開かせておいて報復攻撃に持って行くというのが得意だから、中国の黙認があればやりかねないと言うことぐらいは考えておくべきだ。

それにしても、強硬カードの出し合いで戦争なんて言う事態はお互い避けるべきだ。日本政府にも慎重に行動してもらいたい。

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