2009年11月15日 (日)

オバマ演説をどう見ました?

 昨日のオバマ演説はサントリーホールだったそうですが、招かれた人達はそれだけで大変名誉に感じ、まるでアメリカ市民になった錯覚にすら陥っていたのではないでしょうか? スタンディング・オベーションなんかも揃ってやっていましたが、日本の総理演説に対しては「まるでナチスみたいだ」なんて悪口を言っていた人達も喜んで立ち上がって拍手していたようです。演説途中に入る拍手も通訳が終わる前に良いタイミングでなされていましたので、サクラか演出者の存在を感じてしまいました。オバマ大統領も気持ちよさそうでした。多分アメリカ人よりも日本人の方が共感を持って演説を受け止めてくれている事が伝わっている。

 皮肉で始めてしまいましたが、かく言う私もつい聞き惚れてしまった者の一人です。語り口も上手いし振り返ってみて内容も良かったと思います。自民党もマスコミ各社も揃って「普天間移転を早く受け入れないと大変なことになる」と国民を脅すような意見を吐き続けていますが、世界はもっと大きな変化を遂げようとしているとの感を強くしました。普天間が例え従前通りの計画で決着を見たとしても早晩大きな変更を余儀なくされると感じました。

 オバマは選挙中にイラクからの撤兵とアフガニスタンへの介入強化を主張していました。私は両方からの撤兵を主張したのでは選挙を勝てないとみての方便ではと観ているのですが、方便ではなく本気でテロとの戦いを意識しているとしても軍の要求する4万人の増派を決断できないでいるのは、それで勝てるとは確信できないからでしょう。extremists(過激派)という言葉を使ったのもアフガニスタンにおいてはタリバンを過激派とそうでない派とに分けて考えていることを示唆していると思うし、タリバンが政権に入ることをも既に想定して脚抜きを考えているとすら思える。 それを言い出せないのは、今引いたらアフガニスタンどころか核保有国のパキスタンまでが崩壊しかねないからであり、アメリカの威信は崩壊しイスラエルの安全も保証できなくなり、ひいてはサウジまでもがひっくり返ってしまいかねないからだろう。

 引くに引けずに本当に困っているのだと思う。--その原因を作ったブッシュと小泉は日本シリーズの始球式何ぞをやっているのですから暢気なものです。--だから、アラビア海での給油は帰ってもらって構わないし、5年間で4500億円というアフガン支援策を歓迎しているのだと思う。本気で脚抜けのために協力してもらいたいと思っているのだ。軍事オプションで解決がつかないことは思い知っている。65年間実戦から遠ざかっていた自衛隊では無理なことも重々知っている。日本には知恵を貸して欲しいのだ。民生を安定させる知恵と金と汗を望んでいるのだ。そう思いますよ。

 2国間関係に加え、多国間の組織の成長が、地域の安全保障と繁栄を前進させるとわれわれは信じている。米国がこの数年、これら多国間の組織から距離を置いていたことを私は知っている。はっきりさせよう。そうした日々は終わった。アジア太平洋の国家として、米国は地域の未来の在り方をめぐる議論に関与し、こうした組織が創設され発展するに従い、適切な組織に全面的に参加していく。(共同通信訳)
 私は以前、自民党は「抱きつき戦略」だったと言ったけれど、アメリカに抱きついて中国の台頭に対処していこうという自民党が考えてきた日米同盟はここで完全に否定されたと観る。「従属」していたと言われるとアメリカは怒るのだそうだけれど、都合良くアメリカを利用してきたのは日本の方だという思いもアメリカにはあるという。日本の為に「中国封じ込めなんかはしませんよー」との宣言だし、アジア各国とも関係を深めていくと言っている。しかもここで言われているのは軍事的存在感ではなくて経済だ。何より「雇用戦略」だと言っている。こんなアメリカなら私も歓迎する。

 核兵器廃絶に関するアメリカの立場は何とか筋が通ってきた。NPTの取り決めに立ち返ること--すべての国が原子力を平和的に利用する権利を持ち、核保有国は核軍縮に取り組む責任があり、非核保有国は核兵器を放棄し続ける責任がある--が改めて宣言された。 北朝鮮もイランも一筋縄ではいかない。核兵器保有の意志があるだろうイランに平和利用のみを受け入れさせるためにはイスラエルの核兵器を廃棄させるというハードルも当然持ち上がってくる。これをアメリカは越えられるのかどうか、難しいところだ。 北朝鮮は経済的な破綻が酷すぎる。しかし、現体制維持のためには経済に力をさいている余裕がない。経済援助を受け入れる余裕すらなくしているのでは?と感じる。核兵器廃棄の説得と経済援助が対になるが、安全保障の約束を信じる基盤があるかどうか? かなり飛躍かもしれないけれど、金正日政権の安全保障のために海兵隊を沖縄からグアムかハワイにひくという選択もあり得るかもしれない。軍は反対するだろうけれど、政治的にはあり得ると思う。

 ミャンマーの軍事政権とも交渉をしていくことになりそうで、経済封鎖は解かれるのだろう。イランへも北朝鮮へも経済制裁を加えてきたけれど、その効果は無かったと言うことだ。少なくとも有効に作用しなかったという結論になりそうだ。 交渉するのであれば日本の出る幕もあるのではないかと思いました。

 こうやって振り返ってみても、オバマ演説のすばらしさに比較して現実政治の難しさは想像以上だと思う。しかし希望が見えてきたというのも事実です。軍事オプションを持たない日本にこそ協力して欲しいことがたくさん出現していると思います。「普天間が、普天間が・・」と繰り言を言っている自民党政治から頭が切り替わらない人には見えてこないところでしょうけれど・・・。

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2009年8月 2日 (日)

孫文だって日本に亡命していたのです。

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亡命ウイグル人組織の議長、豪が入国を許可

 【シドニー=岡崎哲】31日付の豪紙オーストラリアンによると、豪外務省は、豪州訪問の意向を示している亡命ウイグル人組織「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長の入国を許可することを決め、会議参加などができる短期商用ビザを発行した。

 中国政府は豪政府に対し、入国を許可しないよう繰り返し求めていた。

(2009年7月31日10時33分 読売新聞)

 中国政府は「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長の動きに神経質になり、訪問先の国に入国を認めないよう圧力をかけ続けているが、日本に続いてオーストラリアも入国を認める決定をした。当然、平和的に活動する限り入国を禁止する理由はないもので、中国政府との関係を考慮して入国させない決定をしたとしたら、それこそ国民からの批判は免れない。このあたりが思想信条、集会結社の自由が認められている(額面どおりではないのですが)国とは違って共産党が独裁的に支配している中国政府は理解しにくいところかもしれない。 又、独立した国家としても中国政府(とは限らない)の圧力に屈するような形での決定はとり得ないものである。こうした観点ならば外国からの干渉に苦しんだ中国なら比較的容易に理解できるのではないでしょうか。

 人民網日本版に「ラビア訪日 日本側は中国側の懸念を考慮した対応を」との清華大学国際問題研究所 劉江永教授の文が載っているのだが、やや常軌を逸した論理展開で中国共産党政権の行く末が心配になってくる。

 中国政府の事前交渉にもかかわらず、日本側は、ラビアの訪日を許した。自民党の執政者は2000年以来、福田内閣の時期を除いて、李登輝やダライの訪日を再三にわたって許し、中国側の不満を呼んでいた。今回、日本外務省がラビア入国を許したことで、中日間には再び摩擦が起こり、中国のネット利用者からも非難の声が上がった。日本側は、中国側の交渉は恒例の行事としか考えず、両国関係への影響はないと考えていたのだ。

 李登輝・ダライ・ラビアは中国分裂を目指しており、それぞれ台湾・西蔵(チベット)・新疆の独立勢力を代表している。日本政府がそのことを知らないはずがない。日本政府が彼らの入国を許し、彼らが日本で中国分裂活動に従事することを許すことは、中国に対する日本の民衆の誤解を深めることにつながる。このことは、中日両国の政治的信頼の構築に不利益であると同時に、両国民衆の感情の改善を阻害することでもある。中国政府は、「自国の民族団結と社会的安定の維持」と「中日関係の改善と健全な発展」という2つの大局から出発し、日本側への忠告を行った。

 忠告したのですか・・・、こんな言い方をされたら従順な国でも反旗を翻したくなると言うことが分からないものだろうか? 増大した国力を盾にして他国に自国の意思を押しつけるような態度は全く帝国主義、覇権主義国のやり方で、長らく中国がアメリカやソ連を批判していた当のものではないのか?

 烏魯木斉で起こった暴力事件は、中国人に大きな公憤を起こさせた。ラビアの訪日目的は、引き続きデマを伝えて中国政府を攻撃し、暴力犯罪の責任を逃れることだ。日本当局がラビア入国を認可したことは、中国での日本のイメージを損ない、日本が重ねてきた対中外交の成果を大きく損なった。日本を分裂しようとする人を中国が入境させ、日本に反対する活動に従事したとすれば、日本人はどのように感じるのだろうか。ラビアの側に立っている一部の日本人は、この暴力事件による犠牲者の家族の気持ちを考えたことはないのではないだろうか。

 例え話が荒唐無稽なのは困ったものだ。日本に民族独立を唱える運動は存在していない。中国共産党だってチベットや新疆を併合しないという選択肢もあったのではないのか? 犠牲者のことを言うが天安門事件で自国民を撃ったのも、新疆で自国民(ウイグル族も漢族も)を撃ったのも中国の公権力ではないのか? 全ての責任が「世界ウイグル会議」にあると主張しているが、報道規制を続けている限り中国政府の発表が真実だと認められることはないと言うことも知るべきだと思う。

 日本外務省によると、ラビアの訪日は民間の招きによるものであり、政府がその入国を拒絶することはできない。中国人にしてみれば、「民間」という言葉を持ち出せば、「民間」という包装がしてあれば、中国に反対するどんな活動が日本で行われてもいいということのように聞こえる。日本当局が暴力事件の深刻さに気付き、両国関係がやっと改善してきたところだという大局を考えれば、このようなトラブルを引き起こす者の入境を拒むということもできないことではなかったはずだ。日本の高級ホテルの一部には、「やくざ・右翼団体の関係者の宿泊、ホテル内での政治活動はお断りしています」という規定がある。社会的秩序をこれほど重視する日本は、この問題での中国の立場を理解してしかるべきだろう。

 言葉の端々に脅かすような言い方をするのは全く感心しない。日本の高級ホテルの例を引いているが、プリンスホテルのことを言っているとした理解が不足している。 28日の東京地裁判決では「集会は相互の意見や情報を伝達、交流させ、思想や人格を形成、発展させる。参加する利益は法律上保護されるべきだ」と指摘され、損害賠償も認められた。社会秩序も重要だけれどそれ以上に重要なこともあるというのが民主主義国の理解です。 それに少なくとも日本では「世界ウイグル会議」はやくざと同じだとは認識されていないのです。

 筆者は、今年4月に出版した「現代中国の対外関係」の中で、「『チベット独立』や『新疆独立』などの中国内外の民族分裂勢力が中日関係に関係し、『人権問題』を作り出していることには十分注意しなければならない」と書いた。暴力事件は、中国公民の生命の安全を直接的におびやかすもので、中国国民の間に強烈な不満と反対を呼び起こしている。隣国である日本はいかなるテロリズムにも反対との立場を示して初めて、中日間の戦略的互恵関係に合致することができる。日本の政府とメディアが中国政府の正義の行動を「鎮圧」もしくは「人権侵害」とするならば、中日関係に重大な悪影響を与えることになる。それは両国民がどちらも希望しないことだ。

 中国内部に民族独立運動が存在していることはもう隠しようがないでしょう。それは日本も理解している。しかし民族独立運動をテロリズムと同一視することは出来ません。ましてや中国政府の一方的な報道を真実と信じることも出来ないのです。これはイデオロギーによるのではなくて中国政府の行動が真実を証明する手続きを欠いているという問題なのです。

 とにかくこの教授の書き方は全く理性的ではない。こんな認識で各国との関係を処していくならば中国は責任ある大国とは認められなくなるだろう。 教授も中国共産党も思い出してほしいのだが、孫文も日本に亡命していたのですよ!

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2009年7月 8日 (水)

中国は民主化出来るの?

 新疆ウイグル自治区では依然として暴動が続いているようで、死者が156人、負傷者が1080人、逮捕者が1500人に上ると報道されている。 中国政府発表によると--暴動は、在外ウイグル人組織「世界ウイグル会議」がインターネットなどを通じて呼び掛けて発生した。--と、手回しよく発表されたが、チベット暴動がダライ・ラマの扇動だと言うのと同じで「外部からの扇動によるもので内部の矛盾によるものではない」との主張だけれど、「火のないところに煙は立たない」。

 今日7月7日は例年ならば1937年の「廬溝橋事件」が話題に上るところであるが、さすがに今年の中国はそれどころではない。数日前から中国のポータルサイトの幾つかが接続不能になっていたのでおかしいとは思っていたのですが、今回の件が絡んでいるのかもしれない。とすれば、昨日の報道以前に中国国内では密かに事態が進行していたのかもしれない。

 中国は勿論、情報統制を徹底してやってきているし、今回も試みている。外国メディアも現地に入れてはいるようだが見せたいように見せ、見せたくないものは隠し通そうとコントロールを試みていることも容易に想像されるところだ。中国政府にとっては外国にどう見られるかと言うことは勿論重要なことだが、政府が見せたいものだけを自国民に見せると言うことが危険だと言うことを知っているのだろうか? 江沢民時代に天安門事件で落ちた共産党の威信を回復するべく歴史教育において抗日戦争を強調しすぎたせいで「反日デモ」をコントロールできなくなってしまった苦い経験があるはずだ。 今回も、外国にある「世界ウイグル会議」の扇動を強調し、武警の鎮圧行動を正当化し続けると漢民族の民族感情を沸騰させてしまいかねない危険がある。

  中国紙「環球時報」が運営するインターネットサイト「環球網」では6日、5日の「ウルムチ暴動」に対するアンケート調査を実施し、一般読者の約95%が「暴動を腹立たしく思っている」との回答結果を報じた。

集計結果(6日午後5時時点)は以下の通り。

  「ウルムチで起きた暴動に対してどう思うか」

  非常に腹立たしい 首謀者らを厳しく罰するべき 95.29%

  興味なし 4.71%

  このほか、記事に対する書き込みには、「民族分裂の動きは鎮圧、一掃すべき」、「社会平和を乱すな!」など、暴動を起こしたウルムチ市民への怒りに満ちたコメントが主流だった。しかし一部では、「昨日のニュースを今日になって報じる遅さは一体なんだ?」、「自治区政府はこんな深刻な事態になるまで、何の情報も掴んでいなかったのか?」など、地方政府の情報開示の遅さへの批判ととれる発言もあった。
(編集担当:金田知子)(サーチナ) 2009/07/06(月) 17:17


 今日のニュースでは漢族もデモを仕掛け、ウイグル族のデモ隊と衝突したと伝えられている。棒きれならまだしも牛刀のような武器を携えた人たちの姿を見ると関東大震災時の「朝鮮人虐殺」事件なんかを思い浮かべてしまう。人口的にはウイグル族と漢族とが拮抗しているようだが、警察と軍隊は漢族がにぎっているから、安心して暴力行為に及ぶ恐れは大いにあるのだ。 一方的な情報を見せるだけでは火に油を注ぐことになりかねない。沸騰した民族感情を共産党は抑える自信があるのかどうか?と、問いたい。

 最近読んだ中国関連の本に呉軍華著「中国--静かなる革命」と兪可平著「中国は民主主義に向かう」の二冊があり、どちらも中国は民主化していくと論じているのが共通している。 二人とも「増量民主」との言葉を使って、経済発展とともに共産党自身が徐々に民主化を推し進めていくとの立場をとっているのだが、呉軍華氏は経済発展が社会の変化を促し日本社会のようになると主張しているようだ。他方、兪可平氏は「共産党が歴史的役割として民主化を実現するのだ」との説を共産党付属研究所の学者らしく展開する。こちらの言説にはひどく違和感を感じた。--そうですか、「人民は黙って共産党が民主化してくれるのを待っていればいいのですね」、との皮肉の一つも言いたくなった。

 どちらにしても中国が民主化することは素晴らしいことだと思いますが、平和裏に共産党が政権党の立場を降りる事が出来るのだろうかと考えると、あまり期待できることではない。日本のような民主主義国家ですら自民党はじたばたし続けているのです。(さすがに自衛隊を使って政権を維持しようとまでは考えないでしょうが・・。) 韓国の盧武鉉は自殺に追い込まれた。北朝鮮は世襲以外に政権交代が出来ない。イランではハメネイが中立性をかなぐり捨ててアフマディネジャドに付き暴力を他方に使い始めている。

 このように権力を集中すればするほど手放すリスクは大きくなるのが世の常で、「手放したいけど放せない」と思うものなのか、「手放してなるものか」と思うものなのか分からないが権力を手放すことくらい難しいこともないのかもしれない。

 二週間ほど前に昨年インターネット上に公開された「08憲章」の起草者の一人劉暁波氏が逮捕されたとの記事が読売新聞に載っていた。実際はこの「08憲章」発表直前に拘束され行方知れず状態だったので、今更逮捕もないだろうと思うが居場所が分かっただけでも一安心か?--ひどい話だ!

 胡錦濤が胡耀邦の下で働いたことがあり、温家宝が趙紫陽とともに働いたことがあるとしても未来の展望が開けているわけではないと思う今日この頃です。

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