オバマ演説をどう見ました?
昨日のオバマ演説はサントリーホールだったそうですが、招かれた人達はそれだけで大変名誉に感じ、まるでアメリカ市民になった錯覚にすら陥っていたのではないでしょうか? スタンディング・オベーションなんかも揃ってやっていましたが、日本の総理演説に対しては「まるでナチスみたいだ」なんて悪口を言っていた人達も喜んで立ち上がって拍手していたようです。演説途中に入る拍手も通訳が終わる前に良いタイミングでなされていましたので、サクラか演出者の存在を感じてしまいました。オバマ大統領も気持ちよさそうでした。多分アメリカ人よりも日本人の方が共感を持って演説を受け止めてくれている事が伝わっている。
皮肉で始めてしまいましたが、かく言う私もつい聞き惚れてしまった者の一人です。語り口も上手いし振り返ってみて内容も良かったと思います。自民党もマスコミ各社も揃って「普天間移転を早く受け入れないと大変なことになる」と国民を脅すような意見を吐き続けていますが、世界はもっと大きな変化を遂げようとしているとの感を強くしました。普天間が例え従前通りの計画で決着を見たとしても早晩大きな変更を余儀なくされると感じました。
オバマは選挙中にイラクからの撤兵とアフガニスタンへの介入強化を主張していました。私は両方からの撤兵を主張したのでは選挙を勝てないとみての方便ではと観ているのですが、方便ではなく本気でテロとの戦いを意識しているとしても軍の要求する4万人の増派を決断できないでいるのは、それで勝てるとは確信できないからでしょう。extremists(過激派)という言葉を使ったのもアフガニスタンにおいてはタリバンを過激派とそうでない派とに分けて考えていることを示唆していると思うし、タリバンが政権に入ることをも既に想定して脚抜きを考えているとすら思える。 それを言い出せないのは、今引いたらアフガニスタンどころか核保有国のパキスタンまでが崩壊しかねないからであり、アメリカの威信は崩壊しイスラエルの安全も保証できなくなり、ひいてはサウジまでもがひっくり返ってしまいかねないからだろう。
引くに引けずに本当に困っているのだと思う。--その原因を作ったブッシュと小泉は日本シリーズの始球式何ぞをやっているのですから暢気なものです。--だから、アラビア海での給油は帰ってもらって構わないし、5年間で4500億円というアフガン支援策を歓迎しているのだと思う。本気で脚抜けのために協力してもらいたいと思っているのだ。軍事オプションで解決がつかないことは思い知っている。65年間実戦から遠ざかっていた自衛隊では無理なことも重々知っている。日本には知恵を貸して欲しいのだ。民生を安定させる知恵と金と汗を望んでいるのだ。そう思いますよ。
2国間関係に加え、多国間の組織の成長が、地域の安全保障と繁栄を前進させるとわれわれは信じている。米国がこの数年、これら多国間の組織から距離を置いていたことを私は知っている。はっきりさせよう。そうした日々は終わった。アジア太平洋の国家として、米国は地域の未来の在り方をめぐる議論に関与し、こうした組織が創設され発展するに従い、適切な組織に全面的に参加していく。(共同通信訳)私は以前、自民党は「抱きつき戦略」だったと言ったけれど、アメリカに抱きついて中国の台頭に対処していこうという自民党が考えてきた日米同盟はここで完全に否定されたと観る。「従属」していたと言われるとアメリカは怒るのだそうだけれど、都合良くアメリカを利用してきたのは日本の方だという思いもアメリカにはあるという。日本の為に「中国封じ込めなんかはしませんよー」との宣言だし、アジア各国とも関係を深めていくと言っている。しかもここで言われているのは軍事的存在感ではなくて経済だ。何より「雇用戦略」だと言っている。こんなアメリカなら私も歓迎する。
核兵器廃絶に関するアメリカの立場は何とか筋が通ってきた。NPTの取り決めに立ち返ること--すべての国が原子力を平和的に利用する権利を持ち、核保有国は核軍縮に取り組む責任があり、非核保有国は核兵器を放棄し続ける責任がある--が改めて宣言された。 北朝鮮もイランも一筋縄ではいかない。核兵器保有の意志があるだろうイランに平和利用のみを受け入れさせるためにはイスラエルの核兵器を廃棄させるというハードルも当然持ち上がってくる。これをアメリカは越えられるのかどうか、難しいところだ。 北朝鮮は経済的な破綻が酷すぎる。しかし、現体制維持のためには経済に力をさいている余裕がない。経済援助を受け入れる余裕すらなくしているのでは?と感じる。核兵器廃棄の説得と経済援助が対になるが、安全保障の約束を信じる基盤があるかどうか? かなり飛躍かもしれないけれど、金正日政権の安全保障のために海兵隊を沖縄からグアムかハワイにひくという選択もあり得るかもしれない。軍は反対するだろうけれど、政治的にはあり得ると思う。
ミャンマーの軍事政権とも交渉をしていくことになりそうで、経済封鎖は解かれるのだろう。イランへも北朝鮮へも経済制裁を加えてきたけれど、その効果は無かったと言うことだ。少なくとも有効に作用しなかったという結論になりそうだ。 交渉するのであれば日本の出る幕もあるのではないかと思いました。
こうやって振り返ってみても、オバマ演説のすばらしさに比較して現実政治の難しさは想像以上だと思う。しかし希望が見えてきたというのも事実です。軍事オプションを持たない日本にこそ協力して欲しいことがたくさん出現していると思います。「普天間が、普天間が・・」と繰り言を言っている自民党政治から頭が切り替わらない人には見えてこないところでしょうけれど・・・。
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